いざという時の知識(傷病編)

2010年10月27日 (水)

無料低額医療事業

無料低額医療事業とは、

・社会福祉法2条の規定により、生計困難者が、経済的な理由によって必要な医療を受ける機会を制限されることのないよう、無料又は低額な料金で医療を受けることのできる事業。

・この事業には、固定資産税や不動産取得税の非課税などの、税制上の優遇措置が講じられている。(第二種社会福祉事業に位置付け)

今日の朝日新聞記事の事例。

 関節リウマチに苦しんでいた尼崎市に住む30代の女性はこの制度を利用した一人。30代の会社員の夫、幼い子供2人とアパートで暮らす。夫の月収は手取りで約20万円。女性もパートで月5,6万円を稼いでいたが、病気があっかしたため、一昨年8月に辞めざるをえなかった。預金も少なくなり、市販の痛み止めで我慢していた。

 知人からこの制度を教えられて、昨年6月に受診した。手術費を含む約20万円の支払いがすべて免除された。いまは職探しができるまで回復した。

10月22日の読売新聞。この無料低額医療を開始して1年が経過した高知医療生協の潮江診療所(高知市高見町)の記事より抜粋。

今年9月30日までの1年間で、67人が来所して相談し、うち家族を含めた59人が医療費の減免を受けて受診。19人が入院し、1人は緊急入院だった。4人からがんが見つかり、疾病の多くは循環器系、外科・整形系だった。相談者は一人暮らしの男性が目立ち、年代では50歳代が多かった。

 世帯主55人のうち、35人は無保険。会社を退職後に保険料が払えなくなり、保険証を失うケースが多かった。22人に収入がなく、生活保護の水準以下の収入しかないケースは91%を占めた。10人は「餓死や自殺を覚悟していた」と答えたという。

 1か月間水だけで暮らしていた40歳代男性、無保険のために新型インフルエンザにかかっても診療を受けられない小学生もいた。岡村事務長は「無保険者や3割負担が払えない人はもっとたくさんいる」と訴えた。

もっとこの制度を利用が進めば良いと感じます。

この事業への参加や減免の程度や基準等は、各医療機関の自主的な判断となっており、実施している医療機関に事前に確認すると良いでしょう。

この無料低額医療制度を採用している医療機関の捜し方ですが、新潟県の場合のインターネットによる検索を行いました。

にいがた医療情報ネット を開き、「いろいろな条件でお医者さんを捜す」ボタンをクリック。

条件選択の「医療保険または公費負担の取扱い」をクリック。

地域選択画面からあなたのお住いの地区をクリックします。

「条件(時間・基本科目)選択」のページが開きます。

そして、二項目目の(費用負担)の欄の右項目の下から3番目、「無料低額医療事業実施医療機関」のボックスをクリックして、チェックを入れ、一番下の「検索」ボタンをクリックする。

そうすると出てきますね。私の場合には「新潟県済生会三条病院」が近くて良いのかと思いました。

他の都道府県においても同様な検索は可能しょう。朝日新聞の記事のように困っている人がいたら、教えてあげるようにしましょう。

*平成17年3月8日の通知 社扱総発第0308001号では、不法滞在者の本制度利用は関連法規違反とならず、また、通報義務の不存在を認める旨発出しております。

2010年10月13日 (水)

介護休暇制度

本エントリーの読者の方ご本人、あるいは、ご家族が要介護状態となった場合、お勤めの家族に急に休みを取ってもらい、世話や付添いなどが必要となる場合があるかも知れません。

育児介護休業法が改正され、短期の休暇制度として介護休暇制度が新たに設けられ今年の6月30日から施行されました。しかし、常時100人以下の労働者を使用する事業所では平成24年6月30日まで適用猶予で、同年7月1日からの施行とされています。

介護休暇制度とは、

要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を行う労働者が、その事業主に申し出ることにより、要介護状態にある対象家族が1人の場合年5日まで、2人以上であれば年10日まで、介護のために、休暇を取得できるものです。

要介護状態」;負傷、疾病、心身の障害のために2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態。

対象家族」;①配偶者(事実婚関係も含む) ②父母 ③子 ④配偶者の父母 ⑤祖父母、兄弟姉妹・孫(これらの者は同居し、かつ、扶養していることが必要)

介護その他を行う」;①対象家族の介護 ②通院等の付添 ③介護サービスの手続の代行 ④世話には介護のための買い物、調理等も含む。

労働者」;日雇労働者を除くすべての労働者。(但し、労使協定で、①入社6月未満の者 ②1週間の所定労働日数が2日以下の者を対象外とすることは可能。)

申出」;この休暇制度は、就業規則に定めることが事業主に義務付けられているので確認してください。

年次有給休暇とは異なり、事前報告義務はなく当日でも良く、事業主は時季変更権も認められていません

」;毎年4月1日から翌年の3月31日まで。但し、事業所が別の1年間を定めても良い。

・休暇期間中の賃金支払い義務は、事業主にはありません。

・申出の内容を証明する書類の提出を求めることができますが、事後提出を可能とするなど、労働者に過重な負担をさせないよう、事業主に配慮するように求めています。

・休暇制度の利用が可能なように時間単位、半日単位で与えるように弾力的な運用の配慮も求めています。

・介護休暇を取得した者に対する不利益取り扱いの禁止を定めています。

*改正育児介護休業法では、法の実効性確保のための紛争解決のための諸制度が創設されたが、この介護休暇制度にも適用されることとなりました。

介護休業制度の利用は、休業そのものが取得しにくい状況が一般的であり、更に育児休業制度と異なり社会保険料や年金受給額などの優遇措置もないことからも利用は進んでいなかった。

冒頭のような状況になれば勤務している家族は欠勤扱い、配慮のある職場で年次有給休暇扱いとされていること。家族の看護や介護を理由に離転職した労働者が平成14年以後5年間でおよそ50万人に達する実情を認識したうえでの改正であれば、その趣旨・目的に照らして猶予期間を設定したことには疑問を憶える次第です。

2010年8月19日 (木)

年金保険料免除制度

傷病等により会社を退職する場合、多くの方々が一時的にせよ加入していた年金制度が厚生年金、共済年金から国民年金へと変更することとなります。

その場合の届け出は市町村の国民年金の担当窓口となりますが、14日以内に届(資格取得・種別変更届書)を行うことになります。

また、20歳以上60歳未満の被扶養配偶者がある場合、同様に届(種別変更)を行う必要があります。こちらの届を忘れて居られた場合、障害年金の保険料納付要件としては未納扱いとされますのでご注意ください。

これらの届け出により国民年金の第2号被保険者から第1号被保険者への変更となります。個々に月額15,100円の定額保険料の納付が20歳から60歳まで義務付けられます。

上述しましたが届け出の遅れや保険料の滞納は2年以内であれば追納が可能ですが、障害年金に関しては注意が必要です。

初診日(初めて医師等の診療を受けた日)の前日の時点での納付状況から厳格に判断され、その後に未納分を追納しても保険料納付期間としては障害年金の納付の判断には影響しません。(老齢年金の場合には納付済期間として認められますが。)

特に傷病等により収入が途絶えたりした方々には、負担能力を考慮しない定額の保険料納付が困難な場合もあることから、被保険者本人の届・申請により納付義務を免除する制度があります。

免除制度は法定免除制度と申請免除制度の二つに分けられるのですが、生活保護法による「生活扶助」を受けている等の事由により受けられる法定免除より、申請免除に該当する場合が多いと考えますので本エントリーでは申請免除を重点に説明しましょう。

申請免除とは、第1号被保険者・本人または連帯して納付義務のある世帯主や配偶者の収入では、保険料を納めることが困難な場合に本人が申請、承認を得て厚生労働大臣が指定する期間(申請前の既に納付、前納分は除きます。)保険料の全額ないし一部の納付が免除されるものです。

求められる条件は、以下の通りです。

1)前年の所得が、被扶養親族等の人数に応じて計算した額以下であること2)本人または本人の世帯員が生活保護法による「生活扶助」以外の扶助を受けているとき

3)地方税法に定める障害者または寡婦で前年の所得が125万円以下のとき

4)天災や失業等により保険料を納付することが著しく困難なとき

申請免除は、前年の所得により免除額が異なり4種類に分けられます。

全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除 です。

詳細については後で記載しますが、申請の手続きやその効果そして追納について説明したいと思います。

(1)申請手続

市町村窓口にある「国民年金 保険料免除・猶予申請書」に記載、年金手帳、失業したときは雇用保険受給資格者証又は雇用保険被保険者離職票の写し等を添付して市町村長に提出します。夫婦で提出する場合は個々に提出します。

(2)申請の承認期間

・申請が1月から6月までなら、申請の前年の7月から申請をしたその年の6月までの期間。

・申請が7月なら、申請の前年の7月から申請の翌年の6月までの期間。

・申請が8月から翌年6月までなら、申請した年の7月から翌年6月までの期間。

現在は希望により次年度以降も継続して審査を受けることが出来ます。

(3)免除の効果

承認された免除期間(全額免除期間を除く)に免除されない保険料を納付することにより、老齢基礎年金の受給資格期間を見るときには保険料納付済期間とみなされますが、年金額の計算では免除の種類により減額されることとなります。

障害基礎年金または遺族基礎年金の受給権が発生した場合、免除期間は年金満額支給の期間とされます。

(4)追納

「国民年金保険料追納申込書」を年金事務所長に提出することで、承認を受けた月前10年以内の免除された月分の保険料の追納が可能です。

追納した日に保険料が納付されたこととされ、「保険料納付済期間」として扱われます。つまり老齢基礎年金の減額期間から満額支給期間となります。

*結論;定額負担が原因で保険料の滞納、未納期間とされないよう、将来のリスクに備える面からも保険料免除制度の利用をお奨めします。

-----------------------------------------------------------

それぞれの所得算式は以下のように定められています。

① 全額免除     35万円 X (扶養親族等の人数 + 1)+22万円

② 4分の3免除   78万円  + (扶養親族等の人数 X38万円)

③ 半額免除    118万円 + (扶養親族等の人数 X38万円)

④ 4分の1免除  158万円 + (扶養親族等の人数 X38万円)

但し、②~④の扶養親族で70歳以上の方は48万円に、16歳以上23歳未満の被扶養親族は63万円に読み変えて計算します。

地方税法で定める所得に含まれるものは、全額免除では

①総所得金額

②退職所得及び山林所得金額

③土地等にかかる事業所得の金額

④長期譲渡所得の金額

⑤先物取引にかかる雑所得の金額 

とされますが、全額免除以外の免除では上記の①~⑤に加え地方税法で定める以下のものが含まれます。

⑥雑損控除額、医療費控除額、社会保険料控除額、小規模企業共済等掛金控除額、配偶者特別控除額

⑦障害者一人当たり27万円、同様に特別障害者は40万円、寡婦・寡夫は27万円、特別寡夫は35万円、勤労学生27万円

⑧肉用牛の売却による事業所得にかかる控除額

なお、本エントリーの内容は現在の制度を反映したものです。改正等により常に正確さを保証するものではありませんので、記載した情報により損害が生じた場合、一切責任を負いません。記載した情報は自己責任のもとでご活用ください。

2010年7月31日 (土)

国民健康保険料(税)の軽減と退職後の傷病手当金

タイトルの国民健康保険料(税)の軽減措置は、

倒産・解雇などにより離職された方(雇用保険の特定受給資格者)
雇い止めなどにより離職された方(雇用保険の特定理由離職者)
を対象に、本年4月から実施されています。

既にご覧になられた方もいらっしるかもしれませんが、確認されたい方はご覧ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004o7v-img/2r98520000004o9d.pdf (厚生労働省リーフレット)

厚生労働省が特定受給資格者と特定理由離職者に該当する方の範囲と判断基準を説明しています。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken05/pdf/03.pdf

そして、子供1人の夫婦世帯の軽減措置の試算例はこちらです。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004o7v-img/2r98520000004oai.pdf

健康保険の任意継続被保険者よりも軽減措置を適用される国民健康保険を選択する方が有利となるケースも多くなるようです。

傷病等で特定理由離職者に該当する方も、一定の条件を満たせば退職後でも健康保険の傷病手当金の継続給付を受けることができます。

その条件は、①退職日までに1年以上健康保険に加入していたこと。②退職日時点で傷病手当金の受給資格を既に得ていること。

傷病手当金の継続給付は、1年6か月間から在職中に既に支給を受けた期間を差し引いた期間だけ受けることができます。

継続給付の「継続」の言葉から、任意「継続」被保険者にならなければ傷病手当金の退職後の「継続」給付は請求できないと考えている方が時々いらっしゃいますが、さきほどの①と②の条件をクリアすれば、退職後に国民健康保険に加入したとしても傷病手当金の継続給付は受給できます。

軽減措置の対象となる方で、任意継続被保険者となってしまった方は下記のリンク先をご覧ください。

【健康保険】国民健康保険料(税)の軽減制度と任意継続被保険者について - 全国健康保険協会.

2010年7月26日 (月)

私傷病と年次有給休暇

入院を要する治療後に退院し、その後も通院だけでは十分な治療を受けられず、再度入院が必要となるようなケースもあります。 ガン患者の場合もそのようなケースが少なくないようです。厚労省がガン患者の就労支援への取り組みを開始すると言う記事がありました。以下はその抜粋した一部です。

がん患者の3割以上が、病気をきっかけに仕事を辞めざるを得ない中、厚生労働省研究班が今年度から、治療後も働き続けられるマニュアルづくりに乗り出す。20~50代の働き盛り世代では、年間約16万人が新たにがんになり、年々増えている。家族や企業、医師向けの小冊子作成や、「がんサバイバー就業塾」などを計画している。

 別の厚労省研究班が03年に実施した調査によると、がんと診断された時点で働いていた人のうち31%が依願退職し、4%が解雇されていた。治療による体力や気力の低下、退院後の通院治療などが重なり、「会社に迷惑をかける」と退職する例が多い。

全文はこちら asahi.com(朝日新聞社):がん治療後も仕事を 働き盛りの患者増加、厚労省支援へ - 社会.です。

ガン発症後、35%の従業員が就業できなくなっているとの調査結果ですが、不況下で地域・業種・事業規模等の格差があり、厳しい状況に置かれている私傷病患者は多いと感じます。

私傷病が原因の欠勤・休暇は、自己責任との考え方から従業員も業務への責任感からも負い目を感ずることもあり、上司、使用者の指示には言われるがままに従うだけだったり、関連する社内の規定等も知らされないまま時間が過ぎてしまい結果、不利益を受けたような例も見聞きしました。

健康保険や病気の知識も当然必要ですが、勤務先の就業規則の規定を確認しておくことも大変重要です。

今回は重症の私傷病発症、休職、その間の補償としての年次有給休暇の取得についてご説明したいと思います。(短時間就労者を除きます。)

年次有給休暇は、所定労働日の8割以上出勤した従業員に対して下表の通り与えることと労基法で定められています。年次有給休暇の未取得日は、次年度へ繰り越される。時効は2年ですから、本年取得日数と過去1年の未取得日数を加えた日となります。

例えば、7年6月以上勤続の方ならば、前年分の年次有給休暇を1日も取得していなければ、本年分20日と昨年分20日の合計40日の有給休暇の取得が可能です。

勤続
期間
6か月 1年
6か月
2年
6か月
3年
6か月
4年
6か月
5年
6か月
6年
6か月
以上
付与
日数
10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

交代要員確保、職務割り当て変更などの処置をするための時間的猶予が目的で、一般に事前の申請手続きを定められていますが、有給休暇の取得が会社側の許可を要するという意味ではありません。従業員の請求する時季に与えることが原則で、「事業の正常な運営を妨げる場合」に会社側の「時季変更権」が認められるだけです。

判例では、「『事業の正常な運営を妨げる』か否かは当該労働者の所属する事業場を基準として、事業の規模、内容、当該労働者の担当する作業の内容、性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行等諸般の事情を考慮して客観的に判断するべきである。」とされています。(大阪高裁、此花電報電話局事件他)

傷病で就業不可能となった場合、時季変更の判断の余地がない状態ですから、就業規則所定の手続を踏んだ場合、年休取得は認められる。また、事後請求でも会社が就業規則で認める規定を定めている場合もあり、また、規定がなくても事後の請求で有給休暇取得扱いとする慣例があれば認められるとされています。

但し、就業規則の「休職」規定の定めにより休職発令がされた後には有給休暇の請求はできなくなります。

(休職)
第00条 従業員が次の各号のいずれかに該当する場合は休職とする。
1、傷病により欠勤    以上にわたる場合
<以下省略>

「休職となったときには就業規則等に基きその期間中は完全に労働義務が免除され、また使用者としても就労を要求しないこととされている場合には、週休日等lと同様、この期間中は年次有給休暇をとる余地が論理的に成り立ちえないと考えられる。」(昭24.12.28き基発第1456号、昭31.2.13 基収第489号)と言う通達の考え方に基くものです。

就業規則の規定を無視して、「傷病の休職と認めた以上、有給休暇の請求は認められないと決まっている。」として、有給休暇の請求を却下され、退職した方もいらっしゃいましたから、ご注意ください。

職場復帰までに数カ月以上時間がかかる場合、まずは通常の賃金額とされる年次有給休暇の取得をし、その後に健康保険の傷病手当金の申請をするのが良いのではないでしょうか。

2010年5月15日 (土)

傷病休職、退職、解雇

大内伸哉先生のブログ。ゼミの内容が紹介されていました。東芝事件を題材として傷病休職と解雇の問題の議論です。

東芝事件は、昨年受講した服部年金企画のセミナーで触れられた判例でもあり、傷病休職と解雇は興味のある問題です。

「3年も休職しているのだから、解雇されても致し方なし。」が学生さんの意見の大勢を占める。

大内先生が「終身雇用の期待権から、うつ病り患の可能性は誰しもあるのだから恢復可能性があるなら、解雇すべきではない。」と発言されると同意する学生が増える。

しばらくして先生は、「そもそも労働契約の基本的な義務である労務の提供が十分にできない以上は解雇されても仕方がなく,病気休職は解雇猶予措置であるので,その期間の満了後は解雇されても文句が言えないのでは」と発言。学生たちを混乱させます。

東芝・過労うつ病解雇事件とは、労災で認定されなかったうつ病り患女性社員を傷病休職期間満了との理由で東芝が解雇した。その社員が、業務上疾病療養中の解雇無効、安全配慮義務違反による損害賠償等を求めたものでした。また、労災認定を求めて行政訴訟も提訴しました。

裁判では業務上の疾病と認めました。(また、労災不支給の処分も取り消しを命じました。)よって、労働基準法第19条1項の解雇制限に反し無効とされました。

労働基準法第19条1項(解雇制限期間)

使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。

ただし、使用者が、第81条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。

労働者災害補償保険法第19条(解雇制限期間の例外)

業務上負傷し、又は疾病にかかつた労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後三年を経過した日において傷病補償年金を受けている場合又は同日後において傷病補償年金を受けることとなつた場合には、労働基準法第十九条第一項 の規定の適用については、当該使用者は、それぞれ、当該三年を経過した日又は傷病補償年金を受けることとなつた日において、同法第八十一条の規定により打切補償を支払つたものとみなす。

打切補償は給与1200日分ですから、特別の事情がなければ使用者はこれを払わず、1095日の経過を待つでしょう。

さて、大内ゼミは業務上傷病ではなく私傷病の前提で議論されております。

東芝の規定では、原告社員の勤続年数から、休業命令前の欠勤期間150日と合わせ350日の休職期間とされ、期間経過後は解雇とされていました。この規定は解雇猶予の趣旨から相当なものと考えます。

しかし、当該社員の労働契約で職種が限定されていなければ、復帰当初は軽易業務に就きほどなく通常業務に復帰可能な程度の回復状態であれば、使用者は企業規模などを考慮し、現実に配置の可能性の検討をする義務を負うとする判例があります。軽易業務への就労も困難であれば、休職期間満了による解雇も有効とした判例もあります。

業務上外を問わず傷病休職となったら、就業規則を確認することが必要です。

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

最近のトラックバック

無料ブログはココログ